エグゼクティブサマリー
経済性
Uber および Uber Eats は、より便利でオンデマンドな輸送・配達手段を推進することで、時間の節約 、モビリティの拡大、レストランや接客業における新しいビジネスの創出に貢献するとともに、日本における何千人ものタクシードライバーや配達パートナーに対し、柔軟に収入を得る機会を提供しています。
2021年には、Uber は 日本経済に 5,540億円の経済的価値を創出したと 推計されています。これには、Uberが仲介するタクシーのドライバーパートナー、Uber Eats の配達パートナー、レストランパートナーの収益に加え、同社の広範なサプライチェーンを通じて創出される 間接的効果、誘起 効果が含まれます。
本レポート の試算によると、 柔軟な働き方 の提供が 、 ドライバーパートナーや配達パートナーにもたらす価値は 、2021年に約180億円相当となりました 。
消費者
オンデマンドエコノミーによって、時間の節約 、選択肢の増加、モビリティの向上など、日本人の日常生活がさらに快適なものになっています。消費者にとって、Uberを利用する第一の理由は利便性です。
タクシー利用者の84%が、Uberを利用する重要な理由として「利便性」を挙げています。新型コロナウイルス の影響のない通常の年であれば、Uberが利用者の時間を年間 90万時間以上節約 していることが推定されます。
Uber Eatsのユーザーの64%が、外食が制限された過去1年間において、フードデリバリーアプリによって生活の質が向上したことを認識しています。
2021年、UberとUber Eatsは日本に1,860億円の消費者余剰をもたらしたことが推定されます。
タクシードライバーと配達パートナー
Uberのアプリが提供する柔軟性と、自分で時間を管理できることを理由に、非常に多くの配達パートナーがUberアプリを利用しています。また、大半の人が使用体験に 満足しており、Uberが副収入を得るのに役立っていると報告しています。
配達パートナーの61%が、Uberアプリの使用体験に満足していると回答しています。2021年には、Uberを通じた配達パートナーの年収総額が 250億円増加しており、次善の収入源や仕事と比較すると平均して28%多い額であることが推定されます。
配達パートナーの88%が、仕事を探す際にスケジュールの柔軟性を重視すると回答しています。配達パートナーがUberで働くことを選択する理由として、平均的に見ると収入よりも柔軟性が重要な要素となっています。2021年には、このような柔軟性の向上が、配達員にとって180億円相当の価値をもたらした ことが推定されます。
レストランパートナーとマーチャントパートナー
Uber Eatsのようなフードデリバリープラットフォームのおかげで、家から出られない時でも、品質が高く種類も豊富な 料理を注文して食べたり、食料品を入手したりすることが容易になりました。この2年間、Uber Eatsはレストランに重要な収益チャネルを提供してきました。
Uber Eatsユーザーの71%が「フードデリバリーアプリのおかげで新しいレストランを発見しやすくなった」、64%が「外食が許されなかった状況において、生活の質を向上させてくれた」と回答しています。
2021年、Uber Eatsは日本のレストランパートナーに490億円の追加収益をもたらしたことが推定されます。
コミュニティ
Uberは深夜の帰宅時に安全な交通手段を提供し、公共交通機関が行き届かない部分を補っています。
女性のタクシー利用者の79%が、 Uberの利用を選択する際に安全性が重要な要素であると回答し、女性のタクシー利用者の64%が深夜の帰宅が容易になったと回答しています。
車を持たないタクシー利用者の22%が、Uberのようなタクシーサービスが利用できることが、車を持たないという選択において重要であったと回答しています。
Uber利用の6回に1回は、公共交通機関からの乗り継ぎであることが推定されます。
消費者
Uberの使い方
サービス開始以来Uberはますます日常生活の中に浸透してきました。Uberは日本でUber Taxi配車サービスを提供しており、消費者はUberアプリを通じて従来のタクシー会社とつながり 、予約と支払いを行うことができます。レストランからの帰り道 、会議から会議への移動、重い荷物の運搬、緊急時の対応まで、便利で安全なタクシーサービスを、ますます多くの日本人が 利用するようになってきています。
全国規模の調査:
- Uberは新型コロナウイルスの感染拡大 前の2019年、日本で約40万人の利用者 に配車サービスを提供しました。
- タクシーアプリ「Uber」を利用する可能性については、男女間で有意差は見られませんでした。
Uberは 、友人や家族との行き来、外食、娯楽などに 広く活用されています。
しかし、利用されるのはレジャー時だけではありません。仕事や日常の雑用、育児にもUberの配車サービスが広く活用されていることが判明しました。
そしてUberは、急いでどこかに行く必要がある時や時間通りに行く必要がある場合にも、重要な選択肢となっています。平均して、Uberタクシーは次善の選択肢と比較すると、1回の乗車につき約22分の 短縮になる と利用者は述べています。このことから、パンデミック以外の通常の年には、Uberタクシーが利用者の時間を合計90時間以上節約 していることが推定されます。
利用者がUberタクシーを選ぶ理由
利用者にUberを利用する際の最も重要な理由を聞いたところ、「利便性」(84%)がトップでした。また、「安全性」(75%)や「時間の短縮」(81%)なども「コスト」(79%)と同様に重要視されています。
Uberを利用する理由として、どの要素が重要で、どの要素が重要でない傾向にありますか?
Uberを利用する理由 1
「公共交通機関の代わりとしてとても便利だから」 関西の46歳男性のお客様
「便利で信頼できる会社だと思うから」 関東の28歳女性のお客様
「深夜料金がかからず、安心して利用できるから」 関東の48歳女性のお客様
「自分で運転できない場面だけでなく、一番手軽でどこでも使える安定感があるので便利」 関東の35歳男性のお客様
「便利、自宅への到着が早い、最も信頼できる」 東北の25歳女性のお客様
「公共交通機関がない場所、最寄りの公共交通機関の駅やバス停が遠い場合、待ち合わせまでの時間があまりない時に便利」 関西の65歳男性のお客様
Uber Eats
新型コロナウイルス の影響によりレストランの飲食スペースが閉鎖されることが多くなったため、日本の消費者は、 質の良い料理を食べるため に、Uber Eatsのようなフードデリバリープラットフォームをますます 利用するようになっています。フードデリバリーアプリ利用者の約半数(47%)が、平均して月に1回以上フードデリバリーアプリで注文していると回答しており、64%は、外食が許されない状況において 生活の質を向上させてくれたと認識しています。
Uber Eatsユーザーにフードデリバリーアプリを利用する際に最も重要な理由を尋ねたところ、「配達時間の早さ」(50%)、「料理の種類の多さ」(32%)などの理由が挙げられました。
フードデリバリーアプリを利用して注文する理由として、次のうちどれが重要ですか? あてはまるものをすべて選んでください。
Uberは消費者にどれだけの価値を創出しているのか?
Uberが実現した利便性、安全性、信頼性の向上は、配車サービス利用者や消費者にとってどれほどの価値をもたらしたの でしょうか?
経済的福祉の最も重要な尺度の1つとして、消費者余剰があります。これは、特定の商品やサービスについて、消費者が最大限支払ってもよいと思う価格 のことです。ある財の消費者余剰がゼロであれば、買うか買わないかは消費者次第です。その一方で、消費者余剰の多い財は私たちの生活において重要な役割を果たしています。
今回の調査の一環として、配車サービス利用者と消費者に、今後1ヶ月間Uberアプリにアクセスできなくなった場合、どのくらいの対価を求めるか を聞きました。
2021年、Uberの配車サービスは日本の配車サービス利用者に70億円の消費者余剰を生み出しており、Uber Eatsはさらに1,790億円の消費者余剰を生み出していることが推計されます。これは合計すると、GDPの0.03%に相当します。
ドライバー / 配達パートナー
ドライバー / 配達パートナーの大半はUberの利用体験に 満足している
当社の調査では:
2021年、タクシードライバーパートナーはUberを通じて、年間合計30億円の追加収入を得たと推定されます。これは、 次善の選択肢と比較すると平均で28%多い金額となります。
Uber Eatsの配達パートナーに、Uberアプリでの配達を選んだ重要な理由を聞いたところ、「スケジュールの融通が利く」「運転が楽しい」「お客様やレストランパートナーと交流ができる」という回答が最も多いという結果になりました。
Uberの配達パートナーでなかった場合、大多数が別の同じような配達の仕事を探すと回答しています。一方、代わりの仕事として従来のフルタイムの仕事を探すと答えた人は、わずか15%でした。
フレキシブルワークへのアクセスの重要性
配達パートナー に、Uberを使って運転することで何が一番よかったかを聞いたところ、「時間」という回答が圧倒的に多いという結果になりました。
Uberで運転することの一番の魅力を、ご自身の言葉で教えてください。
配達パートナーにとって、自分で時間を選べることは特に重要なポイントです。多くの配達パートナーはUberアプリを使って、Uberの仕事、それ以外の仕事、教育、介護などの時間のバランスを取っています。当社が行った配達に関する調査では、配達パートナーの88%が仕事を探す際にスケジュールの柔軟性が重要であると回答しており、平均すると、配達パートナーがUberで働くことを選択する理由として、柔軟性が収入よりも重要な要素となっています。また、Uberの利用が唯一の収入源であると答えた人は少数派でした。
その重要性を検証するために、「収入は増えるが、労働時間は固定である」という状況を仮定し、その方が良いかどうかを配達パートナーに聞きました。その結果、 このような柔軟性の向上は、配達パートナーにとって2021年に180億円相当の価値があったことが推定されます。
柔軟性は様々な理由で重要です。配達パートナーの78%は、Uberアプリだけでなく他の手段で収入を得ていると答え、16% が従来型のフルタイムの仕事に就いていました。週40時間以上Uberプラットフォームを利用するタクシードライバーや配達パートナーはごく少数派でした。
子どもや高齢の親族など、サポートが必要な人の世話や介護をする人にとっては、柔軟性が特に重要です。
- 18歳以下の子どもがいる人、介護をしている人の86%が、アプリベースの仕事の柔軟性によって、家庭と仕事の両立が容易になったと回答しています。
- 18歳以下の子どもがいる人、介護をしている人の88%が、Uberプラットフォームで働くことで、これまでの仕事よりもかなり柔軟性が高まったと回答しています。
Uberで運転することの一番の魅力は何ですか?2
「いろいろなレストランに行くことができ、個人的に行ってみたいお店を見つけることができた」 関東の49歳男性の配達パートナー
いつでも始められて、いつでも終えることができる 」 関東の35歳男性の配達パートナー
「単純にバイクや自転車が好きで、それでお金を稼ぐことができる。やっていて快適だから、やりやすい」 関西の22歳男性の配達パートナー
「お客様に“ありがとう”と言われたり、お店の人に感謝されたりすると、やりがいを感じる」 中国地方の25歳男性の配達パートナー
「好きな時に始めて、好きな時にやめることができる。新しいお店と出会える」 関東の57歳男性の配達パートナー
レストランパートナーとマーチャントパートナー
フードデリバリーアプリは、様々なレストランへの注文をさらに便利にすることで、 食料品の宅配注文量を大幅に増加させました。
Uber Eatsのユーザーの15%が、フードデリバリーアプリの利用によって、注文する料理の量が大幅に増えたと回答しています。新型コロナウイルスのパンデミック以前の独立機関による試算では、フードデリバリーサービスの利用によって、レストランの売上が30~50%増加することが明らかとなりました。 3
2021年、Uber Eatsのみでも、日本のレストランパートナーとマーチャントパートナー(スーパーマーケットなど、料理以外の販売をする加盟店)に490億円の付加価値を生み出し、日本経済全体に5,430億円の影響があったことが推定されます。
コミュニティ
地域社会の安全を守る
夜の外出を楽しんだ後、暗い中を家路につくことに不安を感じる人も多いでしょう。私たちが行った調査では、35歳未満の女性の51%が、6回に1回は夜間の帰宅に不安を感じると回答しています。Uberタクシーが登場する以前は、夜の外出の帰りに通常のタクシーを見つけるのは不可能ではないにしろ、困難でした。また、公共交通機関を利用する場合は、暗い中で自宅までの長い距離を歩いたり、バス停で一人待ったりしなければならないこともありました。
本 調査では、女性利用者の半数以上(53%)が、Uberは帰宅時に最も安全な手段であることが多いと回答しています。
サステナビリティ
輸送セクターは世界のCO2排出量の約5分の1を占めており4、輸送の脱炭素化は、各国が排出量ネットゼロ を達成するために最も重要なステップの1つです。 都市部は炭素排出が集中する場所であり、世界の全排出量の約70%を占めています。
信頼性が高く、便利で手頃な価格のタクシーに簡単にアクセスできれば、公共交通機関が提供するサービスのギャップを埋めることができ、移動が容易になり、自家用車を所有する必要性も減ります。当社の調査では、車を持たない利用者の22%が、Uberのようなアプリベースの配車 プラットフォームが利用できることが、車を持たないという選択をするにあたって重要であると回答しています。
地域内の移動をタクシーだけに頼る人はほとんどいません。タクシー移動は他の交通手段では不便だったり、時間がかかりすぎたりする場合に、公共交通機関を補完するという重要な役割を担っています。
アペンディックス - 調査方法
消費者余剰
Brynjolfsson, Collis, & Eggers(2019)の方法論に従い、配車サービス利用者とUber Eatsの利用者 に、二者択一の離散選択の質問を以下の形式で聞きました。
「次の選択肢のどちらかを選ばなければならないとします。[Uber Taxi /Uber Eats]へのアクセスを維持するか、[Uber Taxi /Uber Eats]に1ヶ月アクセスしなければX円が支払われるか、どちらを選びますか?」
提示した価格は、1.25円、2.50円、5円、10円、20円、50円、100円、200円、500円の中から任意で 選択されました。
次に、今回の調査の結果を線形・対数回帰の両方で計算して 需要曲線を導き出し、その平均値を使ってユーザー1人当たりの消費者余剰の総量を算出しました。
時間の短縮
調査の一環として、配車サービス利用者に直近のUberでの移動時間と、次善の選択肢の所要時間を聞きました。 その差から、1回の乗車で短縮できる時間を算出し、Uberが提供する地域別の年間乗車回数のデータを掛け合わせて、1年間で短縮できる時間の合計を算出しました。そして、平均時給を使用して、この時間の貨幣価値を算出しました。
ドライバーパートナーの所得の総増加額
ドライバーパートナー総収入は、Uberタクシーのドライバーパートナー、Uber Eats の配達パートナーへの支払総額と、 両者 の数に関してUberが提供する地域別の独自データから算出されています。
柔軟性の価値
配達パートナー調査の一環として、二者択一の離散選択の質問を以下の形式で聞きました。
「次の選択肢のどちらかを選ばなければならないとします。
- スケジュールは固定だが、今よりX%[低い/高い]レベルで、より一貫した週単位の収入を得ることができる
- 時間を自由に選べる柔軟性はあるが、1時間あたりの収入は今と同じ
どちらを選びますか?」
Xは5%、10%、20%の間で無作為に設定しました。次に、プロビット回帰とロジット回帰を用いて需要曲線を 導き出し、2つのモデルの結果を平均化して、ユーザー1人当たりの配達パートナーの余剰合計を算出しました。このモデルは、 配達パートナー の種類と場所の両方を条件としました。その後、Uberから提供された配達パートナー数のデータにより、国レベル、地域レベルへと率に応じて増やしました。
レストランパートナーとマーチャントパートナーへの影響
このモデルでは、Uber Eatsを通じてレストランパートナーとマーチャントパートナーに支払われる合計金額に関するUberの社内データを使用しています。レストランについては、以下の平均値を用いて追加的な割合を試算しています。
- フードデリバリーアプリが存在しない場合、どれだけの支出が追加して発生し、どれだけ注文されなかったかについての消費者調査からの自己申告による推定値
- フードデリバリーアプリに費やされる額のうち、増分となる割合のCollison(2020)の推定範囲の中点 5
標準的な投入産出分析の手法に基づき、最新のOECD詳細乗数を用いて、日本のレストランおよびマーチャントのタイプ1およびタイプ2の生産乗数を算出しました。これらの乗数は、Uber Eatsがレストランパートナーとマーチャントパートナーを経由して経済に与える 影響の全体像を示すために使用されます。
総合的な経済効果
総合的な経済効果は以下の合計として算出されます。
- Uber Taxiのドライバーパートナーへの支払額
- Uber Taxiのドライバーパートナーの追加的収入による誘起効果
- Uber Eats利用のための レストランパートナーの支出による間接的効果と誘起効果
この指標は、日本国内でUberが支えている経済活動の総量を見る、グロスの推計値で す。Uberが存在しない場合を想定して測定を試みるものではありません。また、本調査 のモデルには、Uberの企業としての直接投資や雇用の影響、さらにはより広い技術エコシステムへのスピルオーバー効果も含まれておりません。
- 引用文はスペルや文法などの編集を加えていますが、それ以外は変更していません。
- 引用文はスペルや文法などの編集を加えていますが、それ以外は変更していません。
- The Impact of Online Food Delivery Services on Restaurant Sales, Jack Collison, 2020, https://web.stanford.edu/~leinav/teaching/Collison.pdf
- https://ourworldindata.org/co2-emissions-from-transport
- https://web.stanford.edu/~leinav/teaching/Collison.pdf